東京都伝統工芸品指定
江戸鼈甲 伝統工芸士 『仙翠の世界』

江戸鼈甲とは
 

  鼈甲はタイマイという海亀の一種の甲羅で作られた製品の事を指します。 タイマイ及びその細工物は江戸時代まで玳瑁と表されていた。 これを“べっ甲”と呼ぶようになったのは、十二代将軍徳川家慶の時、贅沢を制限する奢侈禁止令(天保12年 1841年)が出され、玳瑁が使用できなくなったのでこれをまぬがれるために“べっ甲”と呼び名が使われるようになった。
   鼈甲は古くは正倉院の宝物の中に玳瑁竹形杖(タイマイたけがたづえ)・玳瑁螺鈿八角箱や琵琶の一部にべっ甲を張った品物等があります。 その後、ポルトガル、スペイン商船が来航するようになると、次第に多くのべっ甲が輸入されるようになった。当時は甲羅をそのまま使うなど細工も簡単でした。べっ甲の張り合わせ技術が江戸に伝えられ、爪の利用が天明期に伝わり一大消費都市・江戸から発展を始め、元禄時代より最高の女性の飾り物として盛んに使われるようになった。 江戸鼈甲技術もこの時期に確立され、今日に至ってもその主たる道具や製法はその時代のままで受け継がれている。
   鼈甲の製造は甲羅に作る製品の形を描き糸ノコで切り出す。その時甲羅を何枚か張り合わせて作品の肉厚を出す為、甲羅の模様を一致させながら切る。ガンギと呼ばれる道具で甲羅の傷などを取りながら整える。荒削りしたものをトクサなどで滑らかにする。水と熱で張り合わせるが整えた品物を水に浸して、柳の板に挟み、熱して金板で圧縮して張り合わせる。張り合わせたものをヤスリ・小刀等で形を整え、バフ磨きで仕上げる。 張り合わせの温度と圧力は長年の年季と熟練がものをいう。
  東京で生産される製品としてはネックレス、ブローチ、眼鏡フレーム、簪(かんざし)、帯留め、置物の他三味線のばち、琴の爪、琴柱(ことじ)等がある。天然の鼈甲製品の奥行きの深い光沢は日本の色といえる。

 
伝統工芸品に遊びの心を入れて創作

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